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シニア層の老後を支援する ―「リバースモーゲージ型住宅ローン」を見る【1】


住宅金融支援機構が、新商品の開発を加速させている。特に我が国ではまだめずらしい“ノンリコース型”も選べる「リバースモーゲージ型住宅ローン」が好評で、業界の注目が集まっている。この4月からは利用対象年齢が現行の「60歳以上」から「50歳以上」に引き下げられ、セカンドハウス取得も資金使途の対象に加えるなど販売攻勢をかけている。その仕組みと足元の動きを見る。

リバースモーゲージに保険を付与
地方銀行を中心に急速に拡大の兆し

リバースモーゲージというのは、自宅の土地建物を担保に融資を受け、契約者(高齢者)が死亡したときに担保物件を売却して一括返済するローンのこと。これまでは一部の市公社や民間銀行が扱ってきたが、都心部の土地付き戸建て住宅所有者に対象が限定されたり、地価下落で担保割れのリスクもあることなどから普及は限定的だった。

しかし、ここにきて地方銀行を中心に急速な拡大を見せている。その理由は、民間銀行が貸し出すリバースモーゲージに住宅金融支援機構(以下、支援機構)が「住宅融資保険」を付与することで、金融機関が担保割れなどのリスクを負わなくて済む仕組みが生まれたからだ。

シニア層の老後を支援する ―「リバースモーゲージ型住宅ローン」を見る

具体的には契約者(高齢者)が亡くなったときに、支援機構が銀行に保険金として元金の全額を支払う。利息は生存中に毎月返済してもらう仕組みだ。リバースモーゲージは一括返済の時期(死亡時)が確定していないため、それまでの期間が長くなると物件の価値が下落して、売却しても元金を回収できなくなるなどのリスクがある。そのため、これまでは扱いにくかった民間銀行だが、支援機構が保険を積極的に受けることにしたため、一気に参入する動きが始まっている。なお、担保物件を売却しても元本割れで債務が回収しきれないときは、銀行などにかわって支援機構が相続人に対して残りの債務分を請求していくことになる。

取扱金融機関には、りそな、埼玉りそな、足利、千葉、静岡、但馬、広島、山口、肥後、北九州、高知など地方銀行が目立つ。従来のリバースモーゲージは東京など地価の高いエリアであることが条件となっていたが、地方都市でも利用できるようになった点も画期的である。なお、日本住宅ローン、日本モーゲージサービスなどの金融機関も参入している。支援機構は、2020年度までには提携金融機関を70行に倍増したい意向だ。

高齢者の多様な資金ニーズに対応
住宅の新規取得もOK、抵当権は新規物件に

支援機構によるこの「リバースモーゲージ型住宅ローン」の利用対象者は現在は満60歳以上だが、今年4月からは50歳以上に引き下げられる。ローンの資金使途は、住宅の建設・購入、リフォーム、返済中の住宅ローンの借り換え、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金、子世帯の住宅取得資金というように幅広い資金ニーズに対応しているのが 特徴。今年4 月からはセカンドハウスの取得も対象に加えるという。融資限度額は資金使途ごとの上限(住宅建設5000万円、リフォームと入居一時金1500万円など)と、住宅・土地担保評価額の60%、どちらか低いほうの額となる。

この制度を始めた当初(2009年)は、リフォーム資金や高齢者向け住宅の入居一時金などに資金使途を限定していたが、2015年度からは「住宅建設資金・購入資金」にも拡大した。つまり、高齢者が郊外の一戸建てから駅前のマンションに住みかえるときの資金調達にも使えるようにした。しかもこの場合、その新規に取得する住宅・土地を担保にして利用することができる。

従来型のリバースモーゲージでは所有している住宅などの資産を担保としてローンを借り入れるが、「リバースモーゲージ型住宅ローン」では、自宅など住宅・土地を所有していなくても、同制度を活用できるわけで、この点も画期的制度といえるだろう。

“人生100年”時代を迎えリタイア後の人生が長くなっている。場合によっては、リタイアを機に自宅を取得したほうが合理的と考える人が今後は増える可能性すらある。そうした新たなニーズも含め、自宅のリフォーム、セカンドハウス購入による田舎暮らしへの挑戦、子供の近くへの移転など多様化するシニア層の住宅ニーズに積極的に対応していこうというのが支援機構の最近の姿勢である。現に、こうした資金使途の拡大措置により取り扱い件数が急増している。2015年度からの2年間で成約累計は約100件(申し込みベース)にも達しているという。

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