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相対評価で投資家を動かす ―リスク回避志向の資金流入進むレジ【1】


投資家が、レジ(賃貸住宅)への積極的な投資姿勢を強めている。不透明感が増す不動産マーケットを鑑み、賃貸需給が良好でリスク耐性が強いとされるレジを再評価。外資系ファンドや不動産投資に着手し始めた国内のコア投資家を中心に、ポートフォリオに積極的に組み込もうとする動きが目立つようになった。今なぜ、レジ投資なのか。その背景と投資環境を探る。

外資系ファンドが積極的な買い
4%切るCapレートが常態化

レジに投資したいと考えているプレーヤーはものすごく増えた――。3大都市圏を中心に全国主要都市でレジを開発し投資家向けに売却する不動産流動化事業が好調なサムティの江口和志社長は、最近そう実感している。
個人の富裕層や事業法人に加え、外資系ファンドから非常に積極的な買いのアプローチがあると話す。Capレートはここ1~ 2年ほどで約100bp下がり、東京都内で3%台半ばから後半でも珍しくない。新宿などターミナル駅に近い好立地物件では、3%を切るディールもあったという。
実際、ここ1年間ではブラックストーン・グループがレジ約220 棟を中国の安邦保険集団に約2600億円で売却した事例や、ウェストブルック・パートナーズがUR から「河田町コンフォガーデン」を430億円で取得した事例が、低いCapレートの大型ディールとして確認されている。

サムティが外資系ファンドに売却した「S-RESIDENCE新大阪WEST」(224戸) サムティが外資系ファンドに売却した
「S-RESIDENCE新大阪WEST」(224戸)

外資系ファンドは、なぜここまでレジに積極的なのか。その理由は大きく2つある。
1つは、賃料の上昇余地。「東京のレジの賃料はニューヨークやロンドン、シンガポールなどグローバル都市と比べると明らかに安いという目線で見ている」(江口氏)。 入居者を入れ替えていけば、自然と賃料が上がりアップサイドが狙えるという見立てがある。
もう1つは、他のアセットタイプとの相対比較。Jリート最大のレジ特化型リートであるアドバンス・レジデンス投資法人(ADR)を運用するADインベストメント・マネジメントの髙坂健司社長はここ1年間、海外投資家との面談で「レジ以外のアセットタイプにはそれぞれ気になることがある」との声をよく聞くようになった。
たとえば、オフィスでは2020年頃まで続く大量供給が本当に消化できるのか、商業施設ではe コマースの台頭により物販が生き残っていけるのか、物流施設では床需要が旺盛とはいえ過去最高水準の新規供給を吸収できるのか、といった懸念が海外投資家の間で増しているという。
不透明感が出てきた日本の不動産マーケットにあって、東京圏や地方中核都市の中心部にあるレジは、新規供給が少ない中で賃貸需給はタイト。「他のアセットタイプのリスク、とくに供給面を見た場合、相対的にリスクが低く比較的読みやすい安心感、安定感のあるアセットタイプとしてレジが注目を集めている」(髙坂氏)。

アセットタイプごとの相対比較を理由に、レジに注目するプレーヤーは外資系ファンドだけではない。これから不動産のポートフォリオを作っていこうとしている年金などの日本のコア投資家も、投資機会を窺っている。
ラサール不動産投資顧問の高野靖央ストラテジストは「日本市場のボラティリティが上がってきている中、安定インカムでディフェンシブ性の高いものをできるだけオーバーウェイトしたい、ポートフォリオの中核に据えたい状態にある」と指摘。
そこでレジを他のアセットタイプと比較して見ると、「相対的にまだ高いインカムを生んでいるし、10年国債とのイールドスプレッドは東京でも300bpを超えていて割高ではない。新規供給も増えていないため、都心のいい物件ならCapレートが3%後半でもあっても十分買っていいという判断になる」と分析する。

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