トランクルームマーケット情報

不動産有効活用最前線 ~トランクルームの収益性と将来性~

筆者:不動産ビジネスライター 久保純一 氏

不動産経営における収益力の指標としてもっとも一般的なのが「利回り」です。簡単にいうと投資金額を年間賃料収入で割ったもので、利回りが10%なら10年で投資額を回収できる計算になります。利益計算をする上では、ここに税金や建物のランニングコストなども計算に入れた実質利回りで計算するのが一般的です。エリアや物件のスペックなどによっても異なりますが、アパート・マンションにおける昨今の実質利回りは5%ほどが基準。同じく中小規模のオフィスビルが6?7%、店舗物件は立地や規模によって大きく異なりますが、8?10%ほどといわれています。

トランクルーム・キュラーズ

ではトランクルームはどうでしょうか。トランクルームにはいくつかの形態がありますが、ここでは建物内に間仕切りをつくって賃貸するビルインタイプで考えてみましょう。まず賃料相場ですが、立地や設備にもよりますがビルインタイプのトランクルームの1坪あたり賃料は1?2万円ほど。概算ですが、同エリア内のアパート・マンションの賃料相場の2倍ほどと考えられます。一方のレンタブル比(延べ床面積に対する貸し床面積の割合)は60?70%ほどで、賃貸住宅の90%、中小オフィスビルの80%からすると見劣りします。

しかしトランクルームが圧倒的に有利なのが、設備にかかるコストです。アパート・マンションやオフィスビル、店舗物件は電気・ガス・水道や室内設備などがあるため維持費はかなり高額となりますが、それに比べ設備の少ないトランクルームの維持費は光熱費と設備の保守点検費用、日常清掃程度で充分です。無人管理なら、受付業務に必要な人件費も不要です。賃料相場の高さとコストの低さを武器に適切なオペレーションを行えば、10%以上の実質利回りを確保することも不可能ではないでしょう。

収益が見込めるとなると、気になるのが将来性です。昨今、稼働率が目に見えて回復してきたといわれているのは都心に立地する大規模オフィスの話。中小のオフィスビルではむしろ悪化しているとさえいわれています。さらにアパート・マンションでは2割近くが空室となっており、この少子化のなかで根本的な解決は不可能とまでいわれています。その一方で国内のトランクルーム市場は毎年約10%の成長を続けており、平成25年には460億円に達したといわれています。しかも普及率はまだ0.3%ほどで、アメリカの10%からすると微々たるもの。飽和状態にある賃貸不動産市場のなかにあって、かなり伸びしろがあるビジネスということが言えます。

ただしトランクルームの収益性や将来性が高いからといって、漠然と経営していてはその恩恵を享受することはできません。利回りが見込めても空室が多くては元も子もありませんし、良好な稼働を維持するためにはニーズの読み取りや営業も必要です。トランクルームビジネスの波に乗るには、それなりの努力が不可欠なのです。

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