トランクルームマーケット情報

キュラーズ「セルフストレージ」オフィスビル不適地こそ開発適地 用途転換で物件価値が大きく再生


オフィスビル大量供給 空きビル発生が追い風に

セルフストレージとは、個人向けレンタル収納スペースの総称で、国内では「トランクルーム」という名称が消費者にも馴染み深い。遊休地・空きビル・空フロアの有効活用策として、近年注目を集めている。

オフィスビルなどをコンバージョンする屋内型セルフストレージの最大手で、国内に57店舗展開するキュラーズは、2020年までの100店舗体制を目指し出店ペースを加速させている。代表取締役のスティーブ・スポーン氏は、市場の開拓余地について「成長過程というよりはまだ初期の段階、あと20年以上は成長できる」と話す。

セルフストレージ先進国の米国が対世帯数で約10%の普及率であるのに対し、日本は東京23 区で同1.3%、全国平均で同0.3%に留まり、伸長の余地は大きい。キュラーズが実施した2017 年の調査では、国内市場は約507 億円、8,000店舗・37万室の規模。過去6年間で毎年8%の拡大を続ける成長産業だ。

2018年以降のオフィスビル大量供給も、同社にとっては追い風となる。テナントが抜けてしまうような“立地がよくない物件”こそ、出店候補地となるからだ。

「住宅街や駅から離れた幹線道路沿いのビルなどは、オフィスとしては競争力が低いが、セルフストレージとしてはベストな立地といえる」。

トランクルーム・キュラーズ

用途変更・新築・増築 開発バリエーション確保

キュラーズはビル1棟を土地・建物ごと自社で取得・長期保有する出店戦略を採っている。取得かリースかは、運営事業者により判断が分かれるところだが「自社保有はオペレーターとしての運営努力がそのまま資産価値の向上につながるベストな選択」だという。

既存物件のコンバージョンのみならず、新築物件にもチャレンジし開発の幅を広げている。また、敷地に余裕があり、かつ容積率が残っている物件については増築を行うこともある。ソーシングにおける現在のライバルは、空きビルであれば自社ビルを探しているテナント企業、更地であればマンションデベロッパーとのこと。

出店エリアは、3km圏内で人口10万人程度の住宅立地をターゲットに、10都市で展開中。特に東京23区は需要が非常に高く出店余地も大きい。1,000~3,000㎡・300~1,000室を確保できる空きビルに集中投資し、2016年は7物件を計60億円で取得した。

屋内型の他社店舗は、1棟で100室程度の小規模ビルや、ワンフロアのみの店舗も多い。しかし、スタッフの常駐体制や空調設備の更新、エレベーターや通路など共用部設備の最適化、敷地内での駐車場確保、屋外看板の設置などの競争力を高める仕掛けに投資する手間を考えると、スケールメリットは重要だという。

市場規模拡大に向け 新規参入企業は歓迎

オフィスビルと比較したセルフストレージの特徴は「オフィスよりも高い賃料が設定できること、一度満室になれば安定稼働を長期間維持できる点が魅力。逆に難しさは、オペレーティングビジネスであるという点。キュラーズには約3万人の顧客がおり、その管理には相当な力を入れている。また、安定稼働に至るまでの期間が2~3年、大型店舗では4年近くかかることもある。その間にもオンライン広告などの販促費用が必要だ。短期的なリターンを求める投資家や、1~2棟でスタートする個人オーナーには手掛けにくいアセットといえる」。

今後の展開については、「高品質なセルフストレージを供給することで、他社との差別化や市場シェアを獲得してきた。今後も、横道に逸れずに自分たちが得意とする事業モデルにまい進する。一方、セルフストレージの認知度アップや品質向上のためにも、新規参入は歓迎。より品質の高い商品を提供する事業者が出てくれば、われわれも更なる高みを目指す励みになる」と意気込みを語った。

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