トランクルームマーケット情報

海外投資家も注目「国内トランクルーム市場」


円安を背景に海外投資家の視線は日本の不動産市場に注がれている。国内の大規模ビルを海外の巨大ファンドが取得し、湾岸エリアの高層マンションをアジア系富裕層が購入する。国内不動産投資市場の活況は海外投資家が牽引しているといっても過言ではない。そして彼らが次に目を付けている分野が存在する。トランクルーム事業である。

今年5月15日、東京・品川でトランクルーム事業に特化したシンポジウム「アジアストレージエキスポ2015」が開催された。一昨年に香港で初めて開催された同シンポジウムだが、アジア圏で最大の市場を抱える日本では初開催だ。
トランクルームの事業者、業界のステークホルダー、トランクルーム事業に興味を持つ投資家や不動産オーナーに対して情報・教育・支援を提供する同シンポジウム。
欧米ではすでに魅力的な投資アセットとして認知されているトランクルーム事業のアジア地域での普及を目指し、マーケットの成長を促進することが開催目的だ。
多種多様なセミナーを通じてアジア地域の最大のマーケットである日本・香港・シンガポールからマレーシア、フィリピン、タイといった新興市場まで最新の市場動向、事業課題にいたるまで、不動産、保険、法律、省エネ、デジタルマーケティングといった各分野の専門家約25名がプレゼンターとして講演した。日本をはじめとするアジア圏の不動産市況とトランクルーム事業のマーケット動向をはじめ、事業に求められる環境対策やソフトウェア技術、各国で異なる法的責任などについて解説。

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主催者であるアジアセルフストレージ協会(SSAA)によると「来場者は世界15カ国約200名。日本人の来場者は2割程度で海外投資家の存在感が際立った」と説明する。日本でのトランクルーム事業を検討する海外投資家の「情熱」を実感させられた。
日本のトランクルーム事業へ注目が集まったのは先進国の中でもまだまだ市場成長の余地が大きいためだ。
国内トランクルーム事業者大手のキュラーズ(東京都品川区)の調査によれば日本のセルフストレージ事業は毎年約10%の成長を続け、平成25年度は1.6倍の約463億円へ拡大しているにも関わらず、世帯当たりの普及率はわずか0.3%程度に過ぎない。これは先進国の中では最低レベルだという。
アメリカではトランクルーム専門のリートが存在し、不動産投資の一大セクターとして定着。市場規模は日本の約10倍に迫る。イギリスでも日本の約3倍の市場を誇る。海外投資家に近い立場ではキュラーズが国内市場へいち早く参入しているが、今後も積極的に投資していくと明言している。
同社は土地・建物の自社保有にこだわる独自の投資を行っており、現在のように不動産の取得価格が高騰しつつある現在においても「現在の土地価格でも取得すれば、それ以上のメリットが得られる」と強気の姿勢を崩さない。

今回のシンポジウムを通じて日本のトランクルーム市場の魅力が海外投資家に喧伝されたわけだが、特に注目を集めたのが日本のトランクルーム事業者大手4社の代表によるパネルディスカッションだった。パネラーを務めたライゼの川端氏、キュラーズのスポーン氏、京葉物流の藤井氏、ストレージ王の石本氏が国内トランクルーム事業の現状とメリット・デメリットについて言及。業界動向についてライゼの川端氏は「ここ10年で様々な企業が参入し非常に活気づいているが、現在の市況からアセットを取得するのは非常に困難」と意見し、地価上昇を背景に物件探しが若干停滞しているという。そのため、同社では投資家や土地オーナーとの連携強化によって事業拡大を目指すとしている。
キュラーズのスポーン氏も「課題は物件を見つけること」としているが、「取得できればそれ以上のリターンを得られるのがトランクルーム事業だと考えている。安定的なイールドが期待できるため」と投資対象としての魅力の高さを語る。

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また、コンテナ設置型のトランクルーム事業を展開するストレージ王の石本氏は「コンテナ1台の価格は日本円にして100万円ぐらいからでき、予算規模が1000万円~1億円という比較的低いハードルで事業展開できるため競合が非常に増えている」と指摘。それにより価格や土地確保の競争が続いており、新規出店場所に苦労していると話す。投資したくても優良アセットの確保が非常に厳しいという現状を解説した。 一方、京葉物流の藤井氏は海外投資家に向けて国内市場参入に向けたアドバイスとして2つの注意点として「日本人のサービスに対するこだわり」と「物件取得の難しさ」を挙げる。
「土地に対する愛着を持つ人が多い。不動産を売りたがらない国民性があるマーケットだという点、慣習を重んじる不動産商取引がある点も覚えておいていただきたい。
また、海外投資家の場合、ファイナンスが課題になる。日本ではトランクルーム事業に対して融資がつかないケースが多い。そのため、短期的なリターンを得るよりも長期的で安定したリターンを目指して日本に根ざして投資を行う方に参入してもらったほうが結果として利益に繋がると思います」(藤井氏)
すでにオフィスやマンションといった主要セクターには海外投資家の存在感が目立ち始めているが、今後はトランクルーム市場にグローバルマネーが投下されそうな勢いだ。

  • ライゼ 代表取締役社長 川端 広和氏
    当社の業態は投資家の資産や土地を運用する形でプロデュースからマネジメントまで手がける。アセットを保有するウェイトは非常に低い。当社においては場所を選ばないので問題ないが、現在の市況から土地の取得が非常に困難。まず地価が高いため、物件探しが停滞しているのではないか。
  • キュラーズ 代表取締役 スティーブ・スポーン氏
    よく「不動産の保有にこだわるのか」と質問されるが、逆に「なぜ不動産を持たないのか」と聞きたい。不動産を保有することで安定したリターンを得ることができ、キャッシュフロー予測も可能になる。そして土地をリースすることも売却する事も可能だ。100の価値を持つ土地が150、200になることもあり、バリュー評価額の値上がりを待つ事も可能だ。
  • 京葉物流 代表取締役 藤井 宏幸氏
    当社のポリシーとして出店方式はこだわらない。物流倉庫業者である当社はアセットを自社保有することもあれば土地を借りるケースもある。ビジネスを行うために最適な方法があればチョイスすればよく、ニーズに合わせて出店方式は変えていくべきだ。また、日本人は求めるサービスレベルが非常に高い。便利でキレイなサービスに慣れた日本人にどういったサービスを提供していけばいいのか、当社としても重要な課題だと考えている。
  • ストレージ王 COO最高執行責任者 石本 武氏
    当社は土地を借りてコンテナを設置するビジネスモデル。土地を借りる期間は5年~20年、いかに早く投資回収を行うかがポイントになる。ビルイン型と違うのは必ずしも定着性がないのでオーナーから土地の返還を打診されてもコンテナを流用できるまた、コンテナ1台の価格は日本円にして100万円程度で予算規模は1000万円~1億円という比較的低いハードルで事業展開が可能だ。

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