トランクルームマーケット情報

「レンタル収納」の市場トレンド

筆者:株式会社矢野経済研究所 菅原 章 氏

日本の収納ビジネス(レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム)及びセルフストレージ市場について、市場環境の視点から10回にわたってレポートします。

第1回  収納ビジネスとは?
第2回  人口・世帯数のマクロトレンドと収納サービスの利用者の拡大
第3回  住宅と収納ビジネス
第4回  「レンタル収納」と「コンテナ収納」
第5回  「レンタル収納」の市場トレンド
第6回  「コンテナ収納」の市場トレンド
第7回  不動産ビジネスとしての収納ビジネス
第8回  GISデータからみた収納ビジネス
第9回  生活者アンケート結果から見る収納ビジネス
第10回  今後の収納ビジネスの可能性

前回「レンタル収納」に引き続き、「コンテナ収納」についてレポートします。

1世帯当たりの「コンテナ収納」の数

全国で1世帯当たりのコンテナ収納の収納スペース数は、0.0037室となっています(2012年3月末時点での総世帯数で換算)。したがって、約270世帯に1室となっています。ただし、拠点が集中している首都圏に限定とすると、0.0079室となっていて、約125世帯に1室となります。さらに、首都圏を各都県別にみると、東京0.0060室、埼玉0.0124室、神奈川0.0083室、千葉0.0067室となっていて、埼玉では約80世帯に1室となっています。前回のレンタル収納は都市部に集中して拠点があるのに対して、コンテナ収納は郊外に拠点が展開されています。特に、幹線道路沿いは比較的多く見かけることができると思います。

国内の「コンテナ収納」って、いくつありますか?

それではコンテナ収納がどこに、いくつぐらいあるものなのでしょうか。
弊社が2013年7月に調査したところ、日本国内には5,161拠点存在しています。国内で5,000拠点(店舗)クラスを運営している事業者というと、単独ブランドでは該当するものがなかったため、なんらかの企業グループや施設の総称となってしまいましたが、図表1のような事業者(所)があります。
さすがに、国内で5,000拠点を超えるサービス網となると、かなり限定されてしまいます。コンビニエンスストア大手3社やガソリンスタンドのトップであるENEOSは、1万拠点を超えていますが、マクドナルドやENEOS以外のガソリンスタンド大手は3,000店舗台となっています。 数字だけでみると、マクドナルドやガソリンスタンドより、多くの人が認知していてもいいはずなのですが、サービスの知名度・利用者数共にまだまだといったところです。

<図表1 国内に約5,000拠点ある代表的な店舗等>

  • サークルKサンクス 6,251店(2014/3現在)
    ※日本DIY協会
  • トヨタグループ系列販社 5,151店(2014/3現在)
    ※トヨタ店・カローラ店・ネッツ店・トヨペット店の合計
  • 全国の高等学校 4,981店(2013/5現在)
    ※文部科学省「学校基本調査」
  • 全国の一般公衆浴場(銭湯) 4,804店(2013/3現在)
    ※公営と私営の普通浴場の合計:厚生労働省
  • 全国のホームセンター数 4,540店(2013/3現在)
    ※日本DIY協会

(各社公表数字を矢野経済研究所まとめ)

コンテナ収納は、冒頭にもふれたとおり、郊外の幹線道路沿いに比較的多くあります(逆に、山手線内には4ヶ所しかありません((第4回)トランク収納の図表3参照)。したがって図表2のとおり、埼玉・東京(環状7号線よりも外側の郊外部)・神奈川といったエリアに多くなっています。1都3県は特に集中して展開されていて、全体の58.3%にもなっています。
また、上位10都府の合計で全体の84.7%を占めています。
ただし最近のトレンドでは、拠点拡大を地方都市にも進めています。昨年の調査時点(2014年4月末時点でも)では、和歌山県と秋田県にはコンテナ収納の拠点がありませんが、それ以外では徐々に拠点が増えている状況にあります(※引越し事業者等の運送会社が一時的に保管するサービスはレンタル収納/コンテナ収納の拠点としてはカウントしていません)。

<図表2 都道府県別コンテナ収納の拠点数>
都道府県 拠点数 シェア
埼玉県 941 18.2%
東京都 899 17.4%
神奈川県 785 15.2%
愛知県 500 9.7%
千葉県 382 7.4%
大阪府 242 4.7%
福岡県 194 3.8%
兵庫県 193 3.7%
広島県 134 2.6%
静岡県 97 1.9%
合計 5,157 100%

(矢野経済研究所調べ)

「コンテナ収納」の特徴的なエリアトレンド

図表2でコンテナ収納の拠点数トップの埼玉県のなかでも、もっと商圏を絞り込んでみると、コンテナ収納が密集しているエリアがある。図表3は埼玉県戸田市で、JR戸田駅と北戸田駅周辺のエリアです。約1,000室近いコンテナがあります。青で描いた円内の世帯数で表すと、1世帯あたり0.065室となり、約15世帯に1室あるという計算になります。例えると、低層の中規模アパート1棟につき、コンテナ収納が約1室備えられているといった感覚値となります。

<図表3 埼玉県戸田市周辺のレンタル収納とコンテナ収納の分布>

図表3 埼玉県戸田市周辺のレンタル収納とコンテナ収納の分布


(●:レンタル収納  ◆:コンテナ収納)

図表4は埼玉県朝霞市で、東武東上線朝霞駅と朝霞台駅(JR北朝霞駅)周辺エリアです。1km圏内に27か所ものコンテナが点在し、国内では最もコンテナ収納が密集した地域となっています。青で描いた円内の世帯数で表すと、1世帯あたり0.071室となり、約14世帯に1室あるという計算になります。

<図表4 埼玉県朝霞市周辺のレンタル収納とコンテナ収納の分布>

図表4 埼玉県朝霞市周辺のレンタル収納とコンテナ収納の分布


(●:レンタル収納  ◆:コンテナ収納)

図表5は、愛知県名古屋市西区で、東海交通事業城北線比良駅と小田井駅周辺エリアです。1km圏内に19か所のコンテナが点在しています。青で描いた円内の世帯数で表すと、1世帯あたり0.080室となり、約12.5世帯に1室あるという計算になります。

<図表5 名古屋 中心商業区域とその周囲のレンタル収納とコンテナ収納の分布>

図表5 名古屋 中心商業区域とその周囲のレンタル収納とコンテナ収納の分布


(●:レンタル収納  ◆:コンテナ収納)

「コンテナ収納」の主なプレーヤー

では、コンテナ収納のプレーヤー(サービス提供事業者)は、どのような会社があるのでしょうか。

<拠点数とプレーヤー>
弊社の調査では、日本全国に380社がコンテナ収納を運営しています(フランチャイズで運営している事業者・個人事業主も含みます)。コンテナ収納の特徴としてはサービスを提供する拠点が1ヶ所の事業者が最も構成割合が大きいものの、全体の43.8%に留まっています(図表6)。むしろ、11拠点以上を展開している中堅以上の事業者が全体の20.1%となっています。地域によっては、地場限定のブランドでシェアを確保しているケースも多い。

<図表6 展開拠点数別のプレーヤー構成比>

図表6 展開拠点数別のプレーヤー構成比


(矢野経済研究所調べ)

事業者別に拠点数の多い事業者をランキング形式にして分析してみると、上位3社のシェアは25.9%を占めています。また、上位10社の拠点数でみると、シェアは47.5%となっています(図表7)。
コンテナ収納の拠点数が多い順に挙げると、エリアリンク(株)、(株)加瀬倉庫、(株)ユーティライズ、日本ユニフル(株)、ランドピア(株)となっています。
最近の主要事業者のトレンドは、全国展開をしている大手事業者が、密集化する3大都市圏から地方都市へとエリアを拡大しています。

<図表7 上位プレーヤーの拠点数構成比>

<上位3社の拠点数シェア>
上位3社の拠点数シェア
青:上位3社/オレンジ:その他
<上位10社の拠点数シェア>
上位10社の拠点数シェア
青:上位10社/オレンジ:その他
(矢野経済研究所調べ)

<室数とプレーヤー>
室数(ユニット数)とは、ひとつのコンテナをいくつかに間仕切りして、ひとつの契約できる単位の収納スペースとなっています。ひとつの拠点で、何個のコンテナがあり、どのくらいの室数があるかを調査・推計しました。すると、国内には約20万室を超えるユニット数があると推計しました。
拠点数と同様に、事業者別に室数の多い事業者をランキング形式にして分析してみると、上位3社のシェアは33.6%を占めています。また、上位10社の拠点数でみると、シェアは57.6%と半数を超えてしまいます(図表8)。

<図表8 上位プレーヤーの室数構成比>

<上位3社の拠点数シェア>
上位3社の拠点数シェア
青:上位3社/オレンジ:その他
<上位10社の拠点数シェア>
上位10社の拠点数シェア
青:上位10社/オレンジ:その他
(矢野経済研究所調べ)

コンテナ収納の室数が多い順に挙げると、エリアリンク(株)、(株)加瀬倉庫、(株)ユーティライズ、(株)ユアスペース、三協フロンテア(株)が続いてます。
上位2社の室数が2万室以上、次いで3位・4位が1万室以上となっています。また、1千室を超える事業者は37社もあり、ある程度限定された地域を中心にドミナント的に拠点展開している事業者が多いことが特徴といえます。

<プレーヤーの分類>
コンテナ収納の主要な事業者を大まかに分類すると、コンテナの販売を手掛けていた事業者と地場の不動産事業者(それぞれ地域で賃貸住宅の仲介・管理を手掛けているケースが多い)が圧倒的に多い。
異業種ではないが、物置メーカーのトップである稲葉製作所が自社製品で物置スペースそのものを賃借する形で事業参入しています。また仮設のユニットハウスを手掛ける三協フロンテアも自社ユニットハウスの技術を使った収納専用コンテナを開発し、自ら収納ビジネスを展開しています。コンテナ同様、屋外に収納する「箱」を製造するだけでなく、収納するための棚やラックなどについても、創意工夫ができるというメーカーならではの利点があります。
その他のプレーヤーは、土地オーナー向けに有効活用提案として、コンテナ事業を提案する事業者がFC展開しています(レンタル収納でも同一手法がとられているケースがあります)。

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