トランクルームマーケット情報

成長の続くセルフストレージ市場


「トランクルーム」や「レンタル収納スペース」といった、主に一般消費者向けの倉庫・収納スペースの総称として呼ばれるセルフストレージ。日本でも消費者の間で、そして新たな不動産投資商品として徐々に知名度を上げ、市場規模を拡大してきたセルフストレージ業界だが、近年では震災を機に家具・貴重品の分散保管や非常食の備蓄といった用途においてさらに注目度が増しつつある。今回は業界大手のキュラーズに、セルフストレージ市場の魅力と今後の戦略を聞いた。

低稼働物件を安価に取得し自社保有物件として営業

セルフストレージは、発祥国のアメリカではすでに約10世帯に1スペースの割合で利用されている。セルフストレージ専門のREITも4銘柄存在し、2011年末時点の時価総額は2兆円を優に超え、2年連続で最もトータルリターンの大きいセクターとして注目されている。日本では1970年代頃に現在のかたちに近い業態が生まれ始め、90年代から2000年代にかけて不動産事業者の新規参入も相次いだ。日本でも消費者の間で、そして新たな不動産投資商品として徐々に知名度を上げ、市場規模を拡大してきたセルフストレージ業界だが、近年では震災を機に家具・貴重品の分散保管や非常食の備蓄といった用途においてさらに注目度が増しつつある。
そんななか、同業界で1、2を争う収益・スペース(ユニット)数を誇り、この5年間では毎年約20%ものペースで収益を拡大し続けているのが、01年創業のキュラーズである。
米国投資会社のThe Baupost Groupの出資によって設立された同社のビジネスモデルは、築古のビルや住宅街のなかにあるオフィスビルといった低稼働物件を低価格で取得し、用途変更・リノベーションを行ったうえで自ら運営する店舗として営業するというもの。
キュラーズは日本全国に店舗を展開しており、その数は5月現在で45店に上る。うち6店は今年の新規出店分とのこと。取得ターゲットとなるのは延床面積が300~1,000坪程度の中規模物件。立地としては東京や横浜などの首都圏および札幌、大阪、名古屋、福岡などの地方中核都市を中心にみているという。自社保有の物件なので内装・外装ともに自由がきき、また取得費用が低い分改装にコストをかけられるため、全国的に統一感をもった高品質なサービスを提供することができる点を競合とは異なる強みとしている。
取得・改修費用は1物件あたり最大でも10 億円程度で、用途変更などの期間も含めて6~9か月ほどでオープンさせる。オープンから1~2年をリーシング完了の目安としており、安定稼働後は年12~13%の利回りを達成しているという。

ハード・ソフト共に行き届いたサービスが好評

店舗・サービスの内容について、東京都内の国道沿いで先日オープンしたばかりの「目黒・都立大学店(地上5階建て・740ユニット。1フロアは約100ユニット)」を例にとると、賃貸可能なスペースは全15タイプ。ロッカータイプの「BOX」から、高さ2mで衣料や大型家具も収納できる「1.0 畳」、引越しや企業移転の際に大小さまざまな荷物の一時保管も可能な「6.5畳」までといったバリエーションがあり、月額利用料金も5,800円~7万9,700円といったレンジで設定。
最短1ヵ月からの利用が可能で、入会にあたっての費用もエレベーター用のカードキー作成費用(2,100円)以外はかからない。
また24時間利用可能・駐車場併設で平日はコンシェルジュが常駐、カードキーによる各フロアへのセキュリティ対策、スペース毎にそれぞれ鍵の異なる南京錠の配布など、ハード・ソフト共に行き届いたサービスが好評を博し、同店はオープン2週間で約200件の問い合わせ・約60 件の成約に至ったという。

オフィスビルより高い坪単価でも不況時にむしろ需要が伸びる!?

キュラーズの顧客層は、90%が個人で残りの10%が法人利用で、その用途は主に3パターンに分類できるという。季節物の衣料、ゴルフクラブやサーフボード、そしてコレクション品などを持ち込み、追加のクローゼットとして使う長期利用者(2年以上)が3分の1、引越しやリフォームの際に大型家具の一時保管場所として使う短期利用者(6か月から1年程度)が3分の1、転勤や結婚、親との同居などのイベントで住居に余剰スペースをつくる必要が出た際に使う中期利用者(6か月から2年程度)が3分の1というバランスの取れた構成になっている。
同社代表取締役のスティーブ・スポーン氏は日本でのニーズを「最も利用されているサイズは2.5㎡程度のユニットで、郊外に多く立地し10㎡以上のガレージタイプの利用が多いアメリカとは異なり、人口の多い都市部で小ぶりなスペースを利用する層が主流のようです」と語る。
さらにスポーン氏はセルフストレージビジネスの有望性について、収益性の高さと、景気動向に左右されにくい点を挙げている。 「オフィスビル賃貸と比べると、通路スペースなどが必要な分、賃貸可能な面積は70~80%程度に落ちますが、店舗によっては1㎡当たりで1万円以上、坪単価でみれば3万5,000円~4万円で貸せているものもあります。これは他の用途と比較しても大きな強みです。また、直近の3年間でも稼働率が落ちた店舗は一つもありません。不況が訪れると住居やオフィスの縮小移転をする際に、むしろセルフストレージがより必要とされることもあるのです」(同氏)。
また、同社は同業他社よりもハード・ソフトの両面で高品質なサービスを提供できることから、近隣の競合店舗よりも若干高い利用料金を設定することも多いという。しかし、それでもここまでの成長性を維持できているということは、単に価格のみでなく、サービスの質をも重視している消費者が多く存在することの証左となろう。
スポーン氏は、今後3年間でさらに店舗を20店舗ほど出店したいと語っており、さらなる市場の成長を確信しているという。

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