トランクルームマーケット情報

“人”を通じて顧客満足度向上を図るトランクルーム企業の新たな取り組みとは?

聞き手:(株)With R Sunshine 雲田峰康

日本のトランクルームは大都市圏を中心に出店が続き、市場規模の拡大が続いている。街中で、郊外で、トランクームの看板をよく見かけるようになったという人も多いかもしれないが、その大半はコンテナや収納スペースを並べただけの無人店舗だ。施設には人の気配がなく、利用に際して不安を覚える利用者も少なくないという。
これに対し、すべての店舗にスタッフを配置。対面での接客、利用後のアフターフォローを徹底することで顧客満足度の向上を図っている企業がある。オリコン顧客満足度ランキングにおいて2009年の調査開始以来、4年連続で総合1位を獲得し続けているトランクルーム最大手のキュラーズだ。今回はキュラーズ 店舗運営部のリージョナルマネージャー 大野道子氏に、店舗スタッフの業務内容や店舗にスタッフを配置することの意義についてお話を伺った。

トランクルーム・キュラーズ

有人店舗ならではの“顔が見えるサービス”

キュラーズでは店舗スタッフを“収納コンシェルジュ®”と呼んでいる。業務内容は「来店客にサービスや設備の案内をするほか、その名の通り収納スペースに荷物を収納する際のコツをはじめ、収納に関する様々な相談に乗り、収納ノウハウのアドバイスなども行う」。午前10時から午後5時の間、店舗での接客に加え、トランクルームの利用契約・その他手続きも店頭で行うそうだ。
「無人店舗の場合、利用申し込みをしたいと思っても、あらかじめ電話で予約したうえで日時を決めて店舗を見学し、申込書を記入して郵送。手続完了後に郵送などで鍵を受取り、やっと利用できるようになるが、店舗にスタッフがいればこのような面倒はなく、対面でやりとりができるので安心感も格段」だといえよう。利用を開始した後も「疑問や不安があれば気軽に質問することができるし、荷物が増えて今利用している収納ユニットでは収まりきらない…といった時にも、大きな収納ユニットへの契約変更についてすぐに相談することができる」のだ。
また、店舗スタッフの性別や年齢は様々だが、近隣に住む主婦の兼業も比較的多いという。「荷物を預けに来店するのは主婦が多く、店舗スタッフも主婦であることで抵抗感なくコミュニケーションが取れ、収納に関して日々抱える悩みも共有できるので、店舗スタッフからのアドバイスや提案を受け入れやすい」ようだ。
店舗スタッフを配置していることの意味。それは、このように、無人店舗ではできない“人の顔が見える”サービスを提供することでサービス品質を向上し、競合他社との差別化を図っていくことにあるようだ。

トランクルーム・キュラーズ

販促面でカギを握る店舗スタッフの市場感覚

対顧客という点で大きなメリットのある店舗スタッフの常駐だが、販促の面でも大きな効果があるようだ。店舗スタッフの業務は店頭での接客とともに、各地域のエリアを熟知した運営マネージャーの戦略方針の元、店舗周辺へのチラシのポスティングをはじめとする販促活動も精力的に行っている。その際、店舗スタッフが近隣の地域に住んでいることが利点となる。つまり、「家族構成や消費傾向などを皮膚感覚で理解しているので、商圏の市場特性を踏まえた販促活動が行える」のだ。トランクルームに対してどの程度のニーズがあるのか、トランクルームの利用意向があるとすればどのような荷物をどのくらいの量預けたいと思っているのか、一年のうちどの時期が新規ニーズの発生が多いのかなどを、毎日の業務や日々の暮らしの中で感覚的につかんでいるというのは、統計的な処理を施したとしても表層的になりがちなマーケティング調査に比べれば実感を伴っているだけに、見逃せないものがある。事実、「店舗スタッフによる販促活動は活発で、新規契約の獲得に大きく寄与している」といい、「表彰制度の拡充などによってスタッフのモチベーションを一層高めていきたい」という。

店舗発のサービス品質向上・サービス開発

“収納コンシェルジュ®”は入社後、業務内容や接遇など基礎的な研修を経て店舗に配属。その後も定期的に研修を受けるというが、キュラーズでは「今後さらに研修の機会を増やし、接客や業務の質的向上はもちろん、収納に関するノウハウなどの研修も充実させ、サービス品質の一層の向上を図っていきたい」という。
また「サービス品質の向上、さらにはサービスの開発に店舗スタッフの声を活かす」ことも計画しているようだ。どんな分野のビジネスでも、日々顧客と話し、質問や要望を聞き、ときにはクレームにも対応している顧客対応部門のスタッフの声には、品質の向上のためのヒントや新しいサービスのニーズが含まれていることが多く、宝の山ともいえる。キュラーズでもこれを掘り起し、サービスの品質向上・開発に役立てていこうというわけだ。前述のように、“地域での収納に対するニーズ”を身をもって感じている店舗スタッフの声を活用することで、実情に応じた品質向上・開発のポジティブなループができあがることになるのだ。

トランクルーム・キュラーズ

“人への投資”が、顧客満足度の向上に

こうして、人材の質を高めることでサービス品質の向上に努めているキュラーズだが、今後もさらに「現在は内覧、申込み、契約までを顧客担当として1人の店舗スタッフが担当しているが、その先も1人のお客様を1人の店舗スタッフが担当することも検討していきたい」と、さらなる人材の育成、活用に意欲的だ。
ただ単に“物理的な収納スペースの提供”を行っているのではなく、人の顔が見える収納サービス、人を通じた収納サービスの提供”というスタイルのキュラーズにとっては、人に投資することが、顧客満足度向上のための重要な方策のひとつなのだ。

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