トランクルームマーケット情報

トランクルーム業界初!「BEMS」導入で消費電力を大幅削減

トランクルーム業界ではキュラーズが積極導入

ここ最近、震災による原発停止や電気代上昇の影響もあり、各企業は消費電力の削減を迫られている。そこで注目されているのが、BEMS(Building and Energy Management System)、つまり「ビル向けエネルギー管理システム」だ。トランクルーム業界に目を向けると、キュラーズがいち早く導入している。今回はキュラーズのBEMSの取り組みにスポットを当てる。

キュラーズ トランクルーム 都立大学店

わずか4年で電気料金を30%ダウン

2007年、キュラーズではある悩みを抱えていた。それは、店舗数が増えるにつれ電気代が上昇していくということだ。これをなんとか下げられないものか、できればお客様へのサービスの質を保ちながら——。そんな課題を打破すべく導入したのがBEMSだ。2008年の時点で、店舗数は36店舗。その電気代は合計するとかなりのものであり、一企業にとって大変大きな金額であった。これを、わずか4年で30%も削減した。そこには様々なアイディアと積極的な取り組みがあった。

点灯時間の“無駄”を減らし消費電力削減

ではキュラーズでは具体的にどのような取り組みを行っているのだろうか。それは、大きく分けて「照明」「空調」「ピーク時の電力使用の抑制」の3つあるのだという。照明については、まずはLEDへの切り替えが挙げられる。蔵前店では、すべての照明をLEDに切り替えた。その結果35%の電力使用料削減につながった。また13の店舗では、一部の照明、とくに使用が最も多いフロア内の通路の照明をLEDに切り替えている。次に挙げられるのが、照明の点灯時間のコントロールだ。フロア内の照明は、人感センサーによってコントロールされている。かつては感知してから長時間点灯していたが、滞在時間の調査によるとほとんどのお客様は15分以内の滞在であることが分かった。 照明の点灯時間を滞在時間に近づけることにより、お客様への影響を最小限に抑え電力の利用を最適化することが出来た。

温度・湿度を保ちながら空調の使用を減少

次に、空調での取り組みを見てみよう。キュラーズの特長のひとつとして、温度・湿度が常に快適に保たれている点がある。このため、ユニット内の物が劣化するのを防ぐことができ、安心して収納できる。これを崩すことなく、空調の制御を行う必要があった。そこで、空調の自動制御システムを導入した。例えば夏の場合、以前は常に空調を働かせ続けていたのだが、全く同じ温度に保つ必要もなく、室温の許容範囲に幅を持たせた。例えば、室温が下がってきたら空調をオフに、室温が上がってきたらオンにするといったプログラミングをした。これにより、オフ状態の時間が大変長くなった。また、フロアごとにオン・オフの切り替えがされるため、きめ細かく、効率よく空調を保つことができるようになった。このシステムは、全45店舗中40店舗で導入されている。

キュラーズ トランクルーム 館内写真

通年の電気代に影響するピーク時の使用料

3つ目は、ピーク時の電力使用の抑制だ。一般にはあまり知られていないのだが、ピーク時の電力使用が多いほど、1年間通して月々の基本料金が高くなる。そのピークとなるのが、年間で最も電力を消費する夏の時期だ。この対策として機能しているのが、先に述べた空調制御だ。各フロアごとにオン・オフの切り替えができ、全フロアの空調が一斉にオンになることも避けられ、ピーク時の電力使用を抑えることに成功した。その結果、より低コストな運営が可能となった。

導入費用は3年以内に回収

そんなキュラーズのBEMSは、ひとつのシステムで一括して制御されている。シュナイダーエレクトリック社の「Continuum」というBEMSだ。現在では45店舗すべてで導入されている。導入費用は、新築のビルで600万円。古いビルだとその2倍のコストがかかるという。それでも電気料金の削減などで3年以内に回収できるのだそうだ。

トランクルーム業界全体における「BEMS」

では業界全体を見渡してみるとどうだろうか。キュラーズほどBEMSを本格的に導入している企業は見当たらない。ビジネスモデルの異なる他社には、BEMSの導入は難しいのかもしれない。前述の通り、BEMSとは「ビル向けエネルギー管理システム」である。ビル1棟まるごとトランクルームとして使用しているキュラーズだからこそ導入できたのだろう。

キュラーズ トランクルーム 世田谷八幡山店

今後の展望

キュラーズでは今後さらにBEMSを推進していく考えだ。最も積極的に取り組みたいのが、LEDのさらなる導入。目標としては、全店舗での導入なのだそうだ。「省エネ法」に基づいて、使用電力などを経済産業省に報告しているのだが、キュラーズは目標値をクリアしている。中長期計画も提出しており、さらなる削減に務めていくことになるだろう。今後、アイディア次第でまだまだ様々なBEMSの取り組みができそうだという。キュラーズはまさに、BEMS先端企業。今後の取り組みから目が離せない。

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