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人口の多い3大都府県(東京・神奈川・大阪)における収納ビジネス(大阪府編)

筆者:株式会社矢野経済研究所 菅原 章 氏

日本全国至る所に収納サービスが広がっていますが、人口の多い都市部にサービスが集中しています。そこで、今回は人口第3位、西日本の中心都市である大阪府の収納ビジネスについてレポートします。

都道府県の人口ランキングの上位3都府県(東京・神奈川・大阪)における収納ビジネス(トランクルーム・レンタル収納・コンテナ収納)の現状をみていきたいと思います。第2回は大阪府です。東日本における中心が東京都ならば、西日本における中心が大阪府です。大阪府は古くから栄えていた都市のひとつでありますし、都市部に住宅が密集しています。東京都よりも就業地と住宅地が比較的近い構造となっています。

<大阪府の統計> ※カッコ内は都道府県のランキング

人口(3) 世帯数(2) 人口移動数(流入超過)(6)
人口密度(2) 平均世帯人員(少ない)(5) 単独世帯数(2)
住宅数(2) 持家率(少ない)(4) 共同住宅数(3)
住宅着工数(3) 事業所数(2) 従業員数(2)
県内総生産(2) 県民所得(3)


大阪府は都道府県の面積が全国で2番目に小さく(一番は香川県)、人口密度も高い。企業の西日本の拠点としてオフィスを構えている企業も多く、転勤者などの単独世帯数も多い。ヒトでにぎわうのが大阪の雰囲気でもあります。
大阪では、首都圏とは少し違った収納サービスのトレンドについて、地図データ・統計データなどをみながら紹介していきます。

大阪府におけるレンタル収納とコンテナ収納の展開状況

大阪府には2013年7月時点で約580ヶ所のレンタル収納・コンテナ収納が展開されています。東京都・神奈川県・埼玉県が1,000拠点を超えていること、大阪府の人口数を考慮すると、まだまだ収納サービス拠点が展開できる可能性を秘めているといえます。
ただし、大阪ならではの特徴があります。上記マッピングデータをみると、青色のレンタル収納の拠点数が多いことがわかります。中心市街部はもちろんのこと、郊外においてもレンタル収納の拠点が点在しています。大阪市内は圧倒的にレンタル収納が多く、周辺市においても中心部から離れるにしたがってコンテナ収納が多いという傾向は、東京都と似ている部分です。同様に臨海部の工業地帯・倉庫地域には収納の拠点がありません。

大阪府におけるレンタル収納とコンテナ収納の展開状況
(青色の点はレンタル収納、黄色の点はコンテナ収納)

<大阪府内の市区別 収納拠点数ランキング>

大阪府 人口 レンタル収納拠点数 コンテナ収納拠点数 拠点数計
北区 112,031 32 32
東大阪市 501,349 14 14 28
吹田市 360,083 16 11 27
中央区 88,478 24 2 26
豊中市 400,086 16 10 26
枚方市 408,610 3 20 23
茨木市 277,689 7 16 23
寝屋川市 241,340 10 13 23
淀川区 171,420 18 3 21
西区 86,004 18 18


大阪府の行政区別の収納拠点数のランキングをみると、人口の多い行政区(1位:東大阪市、2位:枚方市、3位:豊中市、4位:吹田市、5位:高槻市)のうち、5位の高槻市以外は上位にランキングされています。人口規模以上に数多くの拠点が展開されているのが、大阪の中心地である大阪市北区、中央区となっています。
大阪から京都に向かって住宅地開発が進み、ベットタウンとなっていった地区は、今まさに収納ニーズが高いエリアです。また、こういったエリアでも近年マンションの大型開発などもあったため、これからも収納サービスの提供エリアとして注目されるエリアでといえます。単に、市区の人口規模からいえば、神奈川県の市部と同等の規模があるため、50拠点以上は展開できるポテンシャルがあります。
また大阪エリアは首都圏とは異なり、レンタル収納の拠点が比較的居住地の近くにも点在しています。これは、大阪を中心としてサービスを展開している主要事業者が、レンタル収納を展開していたためと考えられます。神奈川県横浜市と比べてみてもその違いが歴然です。今後、コンテナ収納も増えていくものと思われますが、特に大阪市内ではレンタル収納が今後も伸びていくものと考えられます。

人口 レンタル収納拠点数 コンテナ収納拠点数 拠点数計
大阪市 約266万人 210 42 252
横浜市 約371万人 146 146 292

大阪府の都心部におけるレンタル収納とコンテナ収納の展開状況

大阪府の都心部におけるレンタル収納とコンテナ収納の展開状況


(赤太線がJR大阪環状線)

都市部について拡大してみると、赤太線で囲ったJR大阪環状線沿線の内側をみると、ほとんどがレンタル収納である状況がわかります。コンテナ収納に至ってはJR大阪環状線の内側には3拠点しかありません(2013年7月時点)。東京の山手線の内側と大阪環状線も内側の面積は約半分しかありませんが、それでもコンテナ収納の拠点は非常に少ないことがわかります。
また、郊外のコンテナ収納は幹線道路沿いに点在しますが、地下鉄などの駅から少し離れたところにレンタル収納の拠点が点在していることがわかります。築古で駅から距離のあるオフィスビルや小規模な倉庫がレンタル収納のサービス拠点に変わっていることがわかります。

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