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50代から始める幸齢整理~自分らしく生きるために~


生前整理や老前整理という言葉はご存知の方も多いと思います。この言葉からポジティブな想像ができるご年配の方は、あまり多くないようです。なぜでしょうか?
これからの人生をこころ豊かに過ごしてほしいという願いは同じなはずですが、親世代はなぜか死がチラつくらしいのです。
エンディングノートを書いてと我が親に言っても、なんだかんだ言って書こうとしません。周りの友人が亡くなっていく現実から、容易にあの世が頭に浮かんでくるからでしょう。さりとて、多くのしがらみとモノと心のモヤモヤはそのままだったりします。
私が「幸齢整理」と名づけたのは、このブロックを外してほしいとの願いからです。

何のために生まれてきたのか
私たちは幸せになるために生まれてきました。そもそも天から生まれてくるときに、誰か人のためになることを誓ってこの世に降りてくるようです。(映画『かみさまとのやくそく』より)
遊んで暮らしたいというだけでは、神様からNGを出されるらしいのです。神様の話は横に置いて、誰も不幸になりたいと思っている人はいないはずです。
幸齢整理とは、幸せに年を重ねるための整理。という意味です。なので、モノだけに限りません。お金の整理も必要になります。残された子供たちに迷惑がかからないように、というのは多くの親が言われることです。そのためには、どんなことをしておけばいいのでしょうか?
ある程度の年齢になれば、行く先はだんだん見えてくるようになります。50歳からの整理収納ではデジタル遺品を取り上げましたが、今回は家のモノに焦点をあててみたいと思います。

「もったいない」とは?
「捨てられない」と多くの方が言われます。その原因はさまざまなのですが、一番多いのが「もったいない」。まだ使えるのに。。。
では、「もったいない」とはどういうことをいうのでしょうか?
戦後、間もなく生まれたこの言葉。本来はモノがないので、大切に使いましょう!という意味で「もったいない」だったのです。エコで、とてもいい言葉です。今、南アフリカでも「もったいない。」で通じます。
では、現状はどうでしょうか?
今、ご高齢の方の家は、モノであふれかえっています。どうしてでしょうか?今はモノ余りの時代。バブル期を超えました。すでに必要なものは手にしているはずです。
本来の「もったいない」はモノが少ない時代の言葉なので、現代では意味を変えなくてはいけないのです。ただただあなたのところに溜めこんでも、モノは活きません。そのモノが活きる場所で使ってあげることこそが、「もったいない」から脱出できる唯一の方法です。

1.「もったいない」本の気持ち

例えば、読んでいない本。あなたは読んでいないのに処分するのは「もったいない」と思っているのではないでしょうか?では、本の立場になったとしたらどうでしょうか。
埃をかぶって3年、積んどく状態。この本の気持ちはどうでしょう?なんで読んでくれないの?そう思っているのではないでしょうか。本の使命は、人に読んでもらってこそ価値があるのです。本棚に積まれていても、飾ってあるだけではそれこそ「もったいない」。もしあなたの家にあった3年という期間が、リサイクルブック店にあったとしたら、いったい何人の人が読むことができたでしょうか?
こう考えれば、本はあなたの書棚にあるよりもリサイクル店にあった方が嬉しいはずです。

定年された男性からよくお聞きするのが、研究書の「髙かったんだよね」「ようやく見つけたんだ」。定年後に起業されて、その本が活きるのであれば、あなたの傍にいる研究書は幸せです。
しかし、起業する予定もなく、再就職するでもなく、その本を読むこともないであろうと思われるのであれば、その本を若い研究者に譲られてはいかがでしょうか?ようやく見つけた貴重な本であれば、他の研究者にとっても必要な情報かもしれません。
その大切な情報を、あなたの傍で死なせていていいのでしょうか?もし見たいと思ったなら、国会図書館には所蔵されているはずです。そこまでして見たいと思う可能性は何パーセントでしょうか。1%以下だったりしませんか?

ビジネス文書で言われるナレムコの統計というのをご存じでしょうか。作成から1年以内に見る文書が99%。にもかかわらず、たった1%のために大量の書類を持っているという統計があるのです。書類と本は多少事情が変わりますが、普遍的な本でなければ、新しいのが命。
なぜなら、情報は新しいほど使えるからです。それ以外の本も、大量にあって床が抜けそうと心配するくらいなら、スキャンしてPCや携帯でいつでもどこでも見られるようにクラウドに上げるという方法もあります。業者に頼むこともできますが、自分ですることも可能です。
手元でいつも読みたい本は、本当のところいったい何冊あるでしょうか。

本や写真は、どこでも置ける省スペース仕様のscan snapでスキャンすればいつでも見れますね。
文具王・高畑正幸氏も推薦しています。
scan snapの記事はこちら

2.「もったいないエネルギー」からの解放があなたの幸福を運んでくる

さて、「もったいない」に戻りましょう。
一般的に古いものから手放していきます。古いモノには古いエネルギーが、新しいモノには新しいエネルギーがあります。あるお宅で整理収納作業をしたときに、2階の納戸部屋から始めました。奥様のお仕事部屋にするためです。そのあとの変化が劇的でした。奥様いわく、「頭の痛いのが無くなったんです!」

どういうことかというと、納戸部屋の真下は1階のリビングルーム。1日のほとんどを奥様が過ごされる場所です。つまり、2階に詰まっていた古いエネルギーが、頭の上から重石のように降り注いでいたということです。その古いエネルギーが無くなったことで、頭のモヤモヤも晴れ渡って、スッキリしたわけです。私は風水を見ますが、この類は部屋を綺麗にすると起こる現象です。そしてその奥様は今、2度と飼わないといっていた犬を飼われています。亡くなった愛犬に瓜二つの子を見つけたそうです。今でこそ、「この子(犬)に巡り合うために、私は片づけたんだわ!」と言われていますが、以前は色々な悩みで心が押しつぶされそうになっていました。暗かった顔も別人かと思うくらいに明るくなり、人生が大きく変わり始めたのです。これこそ、幸齢整理です。
半身まひがあるご主人様も、寝室のレイアウトを変えて窓のカーテンが開くようになり、日差しが入る部屋で快適に過ごされています。

年をとればとるほど、自分の居場所の確保が大切になります。部屋のどこが居心地の良い場所なのかは、人それぞれです。このご夫婦の場合は、別の場所がそれぞれ居心地がよい部屋だったのです。いつも夫婦一緒にいなければいけないわけではありません。ご年配が寝室を別にするのは、自然の節理から無意識に心地よい場所を選んでいることがあるのです。絶対に一緒!と決めつける必要はありません。もちろん、同じ場所が居心地よいご夫婦もいるので、誤解のないように。

3. 女性のファッションから見る「もったいない」

女性のファッションは、昔と比べナチュラルになってきました。バブル期はいけいけドンドンでしたが、今は森ガール、山ガールという自然な洋服が受け入れられています。天然素材を好まれる方も多いと思います。着ていてなんとなく心地よくない衣類は、結局着ることはありません。10年経てば流行は回ってくるといいますが、回ってきても着ることはほぼありません。
なぜなら、自分自身が「古い」と思っているからです。自分で否定的な感情を持っているものを着ると言うことは、自分を可愛がっていない、大切にしていないということです。大人になればなるほど、自分を大切に1年1年過ごしていただきたいなと願っています。時間は若者の何倍も速く過ぎていくのですから。

お化粧はどうでしょう。濃いめの化粧から、こちらもナチュラルに変わってきています。
にもかかわらず、家の中だけが昔のままモノであふれかえっているのです。キッチンの奥では賞味期限切れの食材が大量にあり、着られることのない洋服が納戸部屋を占拠している。世界では着るものもなく、食べる物さえ手に入らない子供たちがいるというのに。

4. 幸せな人生を送るために

あなたの人生はあなたにしか生きられません。そのたった一つの人生を、モノを中心にしてモノに埋もれて生きるのか、自分を中心にして己を生きるのか。どちらを選びますか?
他人はあなたがどちらを選んでも気にしません。しかし、お子さんや親しい人は、あなたを大切に想うからこそ「幸齢整理」をして欲しいと願うのです。気づいた今こそ、耳をふさがずに「いま、ここ」を生きることが、自分を大切にするということなのです。

がん患者さんの「死ぬとき後悔すること25」(大津 秀一著)ベスト10の中に、「自分のやりたいことをしなかったこと」というのがあります。多くのモノに埋もれていると、頭がクリアでないため、「どうせ無理」とあきらめてしまうのかもしれません。もしかしたら、したいことさえ思い浮かばないかもしれないのです。
スッキリした生活は頭の中も整理されていくので、興味のあることには積極的に出ようという気力が湧いてきます。外に出るから、道端にお花が咲いたとか新しいお店を見つけた、若いお友達ができたなど、刺激を受けてさらに頭が活性化します。歩くので足腰も丈夫になり、認知症になりにくい体質となるのです。

幸せな人生は人それぞれですが、健康でありたいと願うのは同じでしょう。モノが床置きになっていてはケガのリスクもあります。骨折すれば寝たきりになる可能性が大です。そうならないためにも、気になった「いま」があなたの片づけ時なのです。

モノの片づけは、こころの片づけです。
人生の主役はあなたです。
あなたの幸せとは、何ですか?

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