トランクルームマーケット情報

GISデータからみた収納ビジネス

筆者:株式会社矢野経済研究所 菅原 章 氏

日本の収納ビジネス(レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム)及びセルフストレージ市場について、市場環境の視点から10回にわたってレポートします。

GISソフトを活用して、全ての拠点別に1kmの商圏を作成し、それぞれの商圏における人口・世帯数をはじめとした国勢調査データをもとに分析をしてみました。地図上の円は、最も小さい商圏である半径1km(ヒトが歩いて行ける距離:概ね15分から20分程度)圏内となっています。その商圏でレンタル収納・コンテナ収納が密集する地域をいくつかピックアップしてみました。
もしかしたら、あなたが生活しているエリア(居住地や就業地、通勤・通学の途中など)は、「実は」収納サービスの多いエリアかもしれませんよ。

収納サービス(レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム)の拠点が密集するエリア

全国で約7,000ヶ所もある収納サービスのうち、「トップ10」は図表1のとおりです。半径1km圏内に収納サービスが26拠点もあるエリアが3ヶ所あります。20拠点以上あるエリアが9ヶ所/7,000ヶ所(0.1%)となっています。
トップ10のなかに、東京都5ヶ所、埼玉県2ヶ所、神奈川県・大阪府・愛知県がそれぞれ1ヶ所となっているように、人口の集中しているエリア(特に比較的住宅地といわれているエリア)が多い。
変わったところでは、東京都千代田区のポイントはビジネスの中心地ですが、収納サービスの拠点の密集エリアに挙がっています。昼間人口は多いですが、居住者の多いエリアではありませんね。雑居ビルや築年数の経過したビルなどの空きフロアを改造して、レンタル収納として提供されているケースが多いです。したがって、コンテナ収納は「ゼロ」となっています。同様に大阪市北区のポイントもコンテナ収納はゼロながらも密集エリアとなっています。逆に埼玉県朝霞市・愛知県名古屋市西区は、レンタル収納がゼロながらも密集エリアとなっています。
注目したい項目は、「世帯当たり室数」をみて下さい。「0.1」が10世帯に1世帯分の収納スペースがあるという試算となります。ポイント5の東京都千代田区は、居住世帯数がこんなにあるということも驚きですが、収納スペースがアメリカのセルフストレージ市場並みにある計算となります。ただし、当該エリアでは居住者による利用というよりは、法人による利用や通勤している方の利用が多いものと推測されます。
まだ、収納サービスは成長過程にある市場なので、収納サービスがない空白地域を探すことも大事ですが、他社のサービスが立地していても、ドミナント的に密集している方が利用者を獲得することができるかもしれません。また、レンタル収納とコンテナ収納では利用するニーズが異なるため、コンテナの多いエリアであっても、レンタル収納が共存する可能性も大いにあります。

図表1 収納サービスの拠点が密集するエリア

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図表2 ポイント1:埼玉県戸田市

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図表3 ポイント2:埼玉県朝霞市

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図表4 ポイント5:東京都千代田区

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世帯あたりのレンタル収納の室数が多いエリア

それでは、レンタル収納の拠点ではなく「室数」が多くあるエリアについてみていくことにします。
1世帯当たりのレンタル収納の室数が多いエリア(1世帯当たりRS室数が0.1を上回る場所)をピックアップしています。「0.1」という基準は、米国における1世帯当たりのセルフストレージの室数とほぼ同じと考えられるという理由から設定したものです。ただし、実際には拠点の規模(1拠点当たりの総室数の多さ)によって商圏のサイズも異なりますが、今回は比較的都市部の拠点が多かったため、1km商圏のデータのみを参考としています。したがって、データの上で充足感のあるエリアとして紹介します。
さらにデータだけをみてみると、北海道、札幌、千葉県館山など人口が少ないところで、倉庫をレンタル収納として貸し出していると思われるケースでは、「1.0」を超えるところもありました。これは、都市部では商圏が1kmといわれていますが、地方では移動手段が車であることから5km程度であるケースも多いので、例外的なデータとして扱い、商圏に人口が1万人程度いる場所から該当する場所を選んでいます。
 ※参考事例:図表5のポイント7「兵庫県三田市」(着色部)
商圏人口が少ないところでレンタル収納を展開すると、1km商圏程度では世帯当たりの室数が大きくなります。

ポイント1の東京都港区は、ビジネス・商業施設などが密集エリアで、都市部でありながら商圏人口が少ない。そこに、レンタル収納が12拠点も展開されています。したがって、「1世帯当たりのRS(レンタル収納)室数が「0.1」を超えています。また、拠点数の多かった東京都千代田区からも前述とは違う拠点ポイント(ポイント4・ポイント5)がレンタル収納の多いエリアとして挙がっています。

図表5 世帯あたりのレンタル収納が多いエリア

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図表6 ポイント1:東京都港区

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図表7 ポイント5:東京都千代田区

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図表8 ポイント6:大阪府吹田市

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このように、GISデータを分析してみると、また違った形で収納ビジネスをみることができます。もし、近くに空き地や空きテナントがあるビルなどを見つけたら、周辺の競合事業者と人口などから収納ビジネスの借りる側ではなく、プレーヤー(サービス提供事業者)として参入してみてはいかがですか。

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