トランクルームマーケット情報

住宅と収納ビジネス

筆者:株式会社矢野経済研究所 菅原 章 氏

人口・世帯数のマクロトレンドは、中長期的に減少トレンド。
それでも、サービス拠点の拡大とともに、利用者も拡大中!
生活者の潜在的な需要に大きな期待。

トランクルーム・キュラーズ

日本の住宅事情

欧米の住宅と比較すると、日本の住宅は「狭い」と世間一般的に言われていると思います。世界各国の統計から住宅の広さを比較してみると、アメリカには圧倒的にかなわないものの、欧州各国と比較しても、劣等感を得るほどの差はないと読み取ることができます(※ただし、各国の統計による平均床面積の算出方法や新築のみ、住宅ストックの平均など比較する数字が異なっています)。

<各国の新設住宅の一戸当たり平均床面積>

各国の新設住宅の一戸当たり平均床面積


(総務省統計局ホームページより)

日本の新築住宅の平均床面積のトレンドをみると、次のグラフのとおりとなっています。ある程度予想通りといえますが、注文住宅が最も大きく、次いで分譲戸建・分譲マンション・賃貸住宅となっていて、注文戸建と賃貸住宅では2倍以上の広さの違いがあります。時系列で広さのトレンドをみると、ほぼ横ばいで推移していることがわかります。もう少し古いデータと比較すれば、1住戸あたりの面積は広くなっていますが、近年では「より広く」というトレンドにはないものと思われます。要因としては、1住戸あたりに生活する世帯人数の減少(核家族化・少子化等)、広い1軒の土地を分筆して複数の新築住宅を建築・分譲する「ミニ開発」が都市部で増えていることなどが考えられます。
住宅ストック(中古住宅)も既に多く存在し、販売用・賃貸用ともに、様々な住居の選択肢が増えているため、新築住宅の「広さ」のトレンドは、今後も横這いで推移するものと考えられます(直近のトレンドは、消費税増税・建築コストの高騰により、ダウンサイズの方向に進むと考えられます)。


(建築着工統計より矢野経済研究所作成)

  • 持家戸建(一般的には注文戸建といわれている)の平均床面積
    1995年・2000年と140㎡に迫る勢いがあったが、その後は130㎡以下で推移
  • 分譲戸建(一般的には建売住宅といわれている)の平均床面積 過去15年をみても102~106㎡でほぼ横這いで推移
  • 分譲マンション(主に賃貸を目的として建築されたマンションを除く)の平均床面積
    ※1住戸当たりの専有面積の平均ではなく、共有部面積も含んだ平均
    2000年に90㎡を超えているが、その後は80㎡台で推移
  • 貸家(一般的に賃貸アパート・賃貸マンションといわれているもの)の平均床面積
    ※1住戸当たりの専有面積の平均ではなく、共有部面積も含んだ平均
    ほぼ50㎡前後で推移

都道府県別平均床面積のトレンド

これも言うまでもなく、都市部が小さく、郊外・地方が大きくなっていると容易に推測することができます。注文戸建の1戸あたりの平均床面積のトップ5を、東北地方(日本海側)・北陸地方といった地域が占めています。一方、ワースト5は、東京・神奈川・京都は誰もが容易に想像できる都府県ではありますが、鹿児島・宮崎といった九州南部も意外とコンパクトな家づくりがトレンドとなっています。
賃貸住宅の1戸あたりの平均床面積のトップ5、沖縄・長野・奈良・大分・北海道とあまり関係性を見つけるのは難しいですが、ワースト5は、東京・神奈川・京都・埼玉・大阪と都市部の人口密集地域となっています。

<2012年新築注文戸建の平均床面積>


【トップ10】
都道府県 持家戸建
福井県 143.20
富山県 142.03
山形県 140.95
新潟県 133.11
秋田県 133.07
宮城県 132.81
青森県 132.52
石川県 132.25
北海道 130.70
佐賀県 130.63

【ワースト10】
都道府県 持家戸建
埼玉県 120.73
千葉県 120.63
山口県 119.91
沖縄県 119.35
高知県 118.45
宮崎県 118.39
東京都 118.02
京都府 116.93
神奈川県 116.60
鹿児島県 114.41

<2012年賃貸住宅の平均床面積>


【トップ10】
都道府県 賃貸
沖縄県 60.17
長野県 58.69
奈良県 58.00
大分県 57.59
北海道 57.52
長崎県 57.29
三重県 57.06
愛知県 57.03
鳥取県 56.94
徳島県 56.51

【ワースト10】
都道府県 賃貸
兵庫県 51.17
山口県 50.28
鹿児島県 50.00
新潟県 49.44
千葉県 48.92
大阪府 48.30
埼玉県 47.88
京都府 46.10
神奈川県 46.08
東京都 44.44

床面積のトレンドと収納サービス

(レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム)
住宅の広さのトレンドに、弊社がカウントした収納サービスの室数(貸出スペース数)のトレンドと見比べてみると、「2012年新築注文戸建の平均床面積」のトップ10の半分は、収納サービスのワースト10と一致した。逆に、「2012年新築注文戸建の平均床面積」のワースト10の半分は、収納サービスのトップ10と一致した。「2012年賃貸住宅の平均床面積」のワースト10の7割は、収納サービスのトップ10と一致したが、「2012年賃貸住宅の平均床面積」のトップ10とは、残念ながら1県しか一致しなかった。
このようにして、住宅の広さ/狭さという視点から、収納サービスのニーズを探ると、「居住面積が狭い」「賃貸住宅が多い」といったエリア、すなわち築年数の経過した(=古い)賃貸住宅の多いエリアで、収納サービスのニーズがあるという仮説がデータから読み解くことができます。 マクロに近い俯瞰したデータを使ってみましたが、人口の多い/少ないだけではなく、その街や地域が持っている「街顔」をみながら、収納サービスを考えてみてはいかがでしょうか。

<都道府県別収納サービス(レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム)の室数>


【トップ10】
都道府県 収納スペース数
東京都 104,462
神奈川県 54,259
埼玉県 43,141
大阪府 33,571
千葉県 21,118
愛知県 20,506
兵庫県 15,854
福岡県 10,017
静岡県 6,178
京都府 5,393

【ワースト10】
都道府県 賃貸
富山県 309
岩手県 256
高知県 240
山形県 203
山梨県 144
佐賀府 127
山口県 117
福井府 71
鳥取県 66
秋田県 40

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