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不動産有効活用最前線 〜アパート・マンション経営ABC 前編〜

筆者:不動産ビジネスライター 久保純一 氏

不動産経営と聞いて最初に浮かぶのは、アパートやマンションなどの賃貸住宅経営ではないでしょうか。
住宅は賃貸物件のなかで最も数が多く、需要も最大です。「住む」という用途のため建物にもオペレーションにも特殊性がなく、専門知識が必須とされるオフィスビルや店舗と違って未経験でも管理することができるためサイドビジネスとしても適しています。立地についても同様で、必ずしも一等地である必要はなく、ある程度の住宅地であれば事業が成り立つのも魅力でしょう。とはいえそこには不動産経営の全ての要素が凝縮されているといってよく、不動産経営の基本にして極北といわれるほど奥が深いのです。

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しかしながら、賃貸住宅経営を取り巻く状況は徐々に悪化しつつあります。
例えば昨今、少子高齢化や人口の一極集中などを理由に空き家が増加しつつあります。平成25年のデータでは、賃貸住宅は約1740万戸(一戸建てを含む)で全住宅数の約3割を占めていますが、全住宅の空き家率が約13%であるのに対し、賃貸住宅は約20%が空いているというデータもあるようです。かつてないほど多くの空き家が存在する今日、家賃を頂いて部屋を貸す賃貸住宅経営は厳しくなりつつあります。その点をまず理解する必要があるでしょう。

賃貸住宅経営の現状を見るうえで、もうひとつ気になるのが利回りです。空き家が増える一方で新築の賃貸アパート・マンションの供給は続いており、競争が激化しています。家賃相場はかろうじて横ばいといったところですが、データには新築物件も含まれます。新築偏重の日本は築年数の経過とともに家賃が下がる傾向にあるため、建築時・物件取得時に想定していた利回りが維持できなくなっている例が多発しているのです。利回りは一般的に郊外よりも都市部の方が低いとされていますが、東京都内では利回り10%が物件取得のボーダーラインと言われたのは昔の話。今は5%の物件を取得することも珍しくありません。家賃の値上げが簡単にはできない以上、オーナーは今後さらに厳しい局面に立ち向かわなくてはならないのです。

確かに家賃の値上げは簡単ではありませんが、不可能ではありません。ニーズを捉え、的確なオペレーションや改修を実施することで物件の魅力度を向上させることができれば、強気の家賃設定でも高稼働を維持することができるのです。そのキーワードは「他物件との差別化」です。次回は、他物件と差別化し、競合物件のないアパート、他物件と比較されないマンションを実現するためのヒントをいくご紹介します。

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